日垣隆『使えるレファ本150選』
この連載もすっかり滞って半年。遂に年が明けてしまい、もうすぐ節分です。みなさん、恵方巻きはすでに予約しましたでしょうか。
というわけで、立春をまえに改めて本の話をやっていきます。タイトルは「街場の新書たち」に変えましたが、新書以外の本も取り上げるかもしれません。
さて、第一回目は本誌連載でもお馴染みの日垣隆さんの新刊。
タイトルの「レファ本」というのは、レファレンスブックのことで、参考図書のことです。図書館などに行きますと、そいうコーナーを見かけますが、「レファレンス」というのはもともとは図書館用語で、「参考情報提供業務」のことだそうです。
ちなみにyahoo!で検索してみますと、トップのほうに「利用者の皆さんが研究や調査にあたって図書館を効率よく利用していただけるよう、質問や相談を受付け、必要な情報を探し出す方法や手段をアドバイスするサービスのことです」とその説明がでてきます。著者の意図からすれば、こういう調べ方こそが安易なのですが。
本書には、プロの書き手のみならず、増殖し続けているブログ開設者のために「読む人を唸らせ、恥をかかない」よう、著者が厳選した参考図書(辞書、事典、年鑑、図録、白書など)がずらっと並べてあります。
インターネットの出現によって、われわれは以前とは比べ物にならないほど「調べる」ことを簡単に済ませられるようになりました。しかしネットにはノイズ的情報(不正確でウラのとれない情報)も多いこともまた事実です。
しかもそうであることは、現在ではずいぶん広く認知されるようになってきました。ネット情報を信用せずにネットを使うということが、いま求められているわけですが、ここに収められたレファ本は、多くの専門家と校正・校閲をくぐってきた強兵であり、それだからこそ手元に置いて損はないと思えるものばかりです。私が一読しただけでも、ざっと50冊は揃えたいと思いました。少ないですか。
たとえば、もうすぐトリノ・オリンピックが開催されますが、その「トリノ」を『コンサイス外国地名事典』(三省堂)で試しにひいてみると、「(イタリア)ピエモンテ州トリノ県の県都」とまずあり、「ローマの北西697km、パリの南東760km」に位置しているという地理的情報はもちろん、フィアット社の本拠地云々という一口情報もあわせて載っています。
また、『日本俗語大事典』『大失言』などはめくってみれば、けっこう笑えたりします。手にしてみると、レファ本というのは、読物としても意外に面白い。
しかし本書の効能は、そういった、お手軽なレファ本の紹介というよりも、「知的好奇心」をそそって、買い物心を刺激してしまう点にあるのではないでしょうか。あるいは、その延長上にレファ本を蒐集したい気にさせてしまう点にあるかもしれません。
果たしてそれを「効能」といっていいのか。私はさして関心もないのに『刑事事実認定』上下巻を購入し、『世界戦争犯罪事典』を手にし、さらに『日本の財政 平成17年度版』の読書会までやろうかと考えております(ほんとか)。そういう意味で、”危険”な本でもあります(笑)。
■『使えるレファ本150選』
日垣隆 著
ちくま新書
\819(税込)
ISBN 4480062823
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