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2007-09-25

お笑い映像テロリスト

 お、お久し振りです!
 光陰矢のごとし、いつの間にやら二ヶ月くらい経っておりました。こんなブログでも、読んでいただいている人がいて、「早く更新しろ」とお叱りを受けておりました。すみません。
 では早速。
20070905110916
 少し前になってしまいますがマイケル・ムーア監督作品『シッコ』を見ました。
 突撃突貫、ゲリラ監督の次のターゲットはアメリカの医療保障。命という重いテーマを、笑いを取り入れながら描いて行く手腕は相変わらず素晴らしいです。編集もいい。ムーアに関して、(特に日本の)メディアはいつも突撃過激取材だけを取り上げるけど、映画としても面白くしているという事を忘れているとい思います。

「薬指をくっつけるのに12000ドル、中指なら60000ドルです」
「……じゃあ薬指だけ」
 だから大工の中指はない。

 救急車を呼ぶのに、事前の申請が必要。一体、いつ申請すればいいのか? 倒れる直前に?

 アメリカの医療保険制度は完全に異常です。一方、イギリスやフランスに行き、その充実っぷりを目の当たりにして、ムーアは「もうやめてくれ!」と頭を抱え込む。アメリカ人にとって理解できないほど恵まれているから。その姿が滑稽で笑えます。多分、わざと演技していると思いますが。

 笑いを入れながら、アメリカの病魔を抉り出しています。

 とはいえ、『華氏911』でも批判されたように、決してフェアな描き方ではありません。偏向、というより、あえて隠している部分が随分とあります。
 例えば、アメリカは医療保険制度は最悪だけど、医療技術や製薬技術は世界一です。フランスやイギリスでは医療における国民負担はゼロ、国から派遣される乳母もいたりしますが、その分、税(消費税とか)が高い。
 そういった情報は完全に無視している。これ以外にも多々ありそうです。

 マユツバで見るべき映画ではあるけど、事実無根の駄目映画なんかではありません。むしろ見るべき映画でしょう。ムーア自身も、フェアだと思ってはおらず、問題提起として描いています。こんな映画を見せ付けられたら、日本は大丈夫なのかと調べる人は多い。それが狙いのはずなのです。

 そもそも、ドキュメンタリーに中立という視点は可能なのでしょうか。現在の日本のマスメディアの報道ですら中立なんかではありません。
 一番重要なのは、我々観客(国民)の見方や視点です。必ずしも全てを映し出しているわけではない、自分達で考えろ、という基本的にしてもっとも重要なポイントだ。日本に限らず、今の人間はそこを欠いている気がしませんか?

 ムーアは映画内で彼を批判するサイトの主に対してある行動を起こします。ムーア自身が、自分は公平ではない、中立って難しい、だからこそいろいろな視点が必要なんだと考えているからこそ行動ように見えました。(ま、この行動を映画にしているんだから、ちょっとは打算的に考えている部分もあると思いますがね)

 クライマックスは9・11の救命作業で健康を犠牲にした人々を連れて、キューバのグアンタモナ海軍基地に突撃するシーン。「電波少年」的ですが、そこからキューバに流れていくところは、オリバー・ストーンがカストロに突撃インタビューをした『コマンダンテ』を見た者にとっては、かなりぞくぞくします。是非、早稲田松竹など名画座で二本立てで上映していただきたい。
 勿論、このキューバの部分も眉唾で見なければいけません。はっきり書けば、マイケル・ムーアはジャーナリスト失格でしょう。

 ところで、マイケル・ムーアについての雑誌や新聞の記事で、「日本のこれを撮って欲しい」という企画が載っている時があります。誰だったか、日本の原爆について撮ってもらいたくて手紙を書いたという人もいた。

 馬鹿か、と思いました。

 雑誌企画に目くじら立てるのもどうかと思いますが、自分達の国の事は自分達でやるべきでしょう。
 人に頼ってどうする。そんな考えだから、いま話題に上がる天皇や特攻隊や原爆の映画は、ほとんど外国人が撮ったものばっかなんだよ。情けなくないのか。

 そうです、目くじら立てるべきは雑誌企画じゃなくて、日本の映画監督達に対してです。いい加減、ホラーと純愛じゃねぇだろ。目を覚ませ。

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