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2007-04-24

喰え、殺せ、血を啜れ!

 どうも、お久し振りです。一ヵ月更新がなかったわけですが、これは書かなかったのではありません。映画を見ていなかったのです! 忙しかったんです! だから私は悪くない!! そもそも何故、私だけ書いているんだー!?
 ……書くだけ書いたら落ち着きました。先日、初めてこのブログを楽しみしているという人に実際に会い、一人でも読者がいるのなら書こうじゃないか、という気持ちになっている川島です。

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 今回見に行ったのは『ハンニバル・ライジング』です。公開されたのが21日なので混んでいるかと思いましたが、月曜最終回だからか、ガラガラでした。

 監督はピーター・ウェーバー、出演はギャスパー・ウリエル、コン・リー、リス・エヴァンズ。リス・エヴァンスって名前は全然覚えないのですが、しょっちゅう見かけますね。原作・脚本は勿論、トマス・ハリス。

 ここ数年、ハリウッドで流行っている前日譚です。既に人気あるんだから、ある程度の集客は見込めるので作ろうぜ的なノリで作るんでしょうね、こういうの。
 そして、今回選ばれたのが、映画史上“完全無欠”“問答無用”のモンスター、ハンニバル・レクターです。えー、彼を知らない人がいましたら検索してください。ウィキペディアとかで詳しく書かれています。

 いきなり書きますと、メリハリもないしスッカスカです。何の味も旨みもありゃしない。

 レクターのトラウマとなるエピソードは、まぁ悲惨さが出ていましたが、それだけです。原作を読んでいませんが、おそらく筋をなぞっただけじゃないでしょうか。

 一番引っかかるのは「日本」要素です。何で突然、生花や剣道が出てくるんだよ! 何でご先祖様を祀るのに仏壇じゃなくて甲冑なんだよ! 『羊たちの沈黙』でつけていたマスクの原型が甲冑にある、みたいに描くけど、あのマスクは自分でつけたくてつけたんじゃないだろ!
 それにレディ・ムラサキじゃまー!!

 興奮してしまいました。

 若いレクターだからというのを差し引いても、正直、魅力がありません。
 あの、強固ガラスの向こうにいても危険だと実感し、近くにいるだけで精神を蝕まれそうな、髪を油でオールバックにしている、いかれたジジイの若い時代の話。つまり、観客が期待しているのは彼がまだピッチピチで、自由に動けて、どんどん周りを破滅に陥れていく姿なのです。

 今回描かれた若きレクターは、復讐だけを考え、狂気へとひた走っていきます。復讐の相手は一般市民ではなく、愛しい妹を食った戦争犯罪人だから、見ている側も“安心”して見ていられます。殺人を“安心”して見るというのもおかしな気分です。

 しかし、それと並行してヤング・レクターは悪夢に襲われ、苦悩しています。私が持っている「ハンニバル・レクター像」があくまで“完全無欠”のモンスターだからかもしれませんが、苦悩するのも、それを解決するのも、もっともっとぶっ飛んだレベルでいて欲しい。ヤング・レクターはモンスターなんかじゃなくて、人間・レクターでした。
 どうしても、この映画から“あの”レクターに結びつける事ができません。あくまでこの映画は、根底にあった狂気を覚醒させるキッカケとなる、若い日の1エピソードという事なのでしょうけど。うーむ。

 ギャスパー・ウリエルは頑張ってサイコを演じていましたけど、どうしてもアンソニー・ホプキンスありきの演技なので取ってつけた感がありました。まぁあれだけの“名演”が先に存在してしまっているので、仕方ないのですが。あと、ニヤッと笑う場面が思いっきりしゃくれになっていて、サイコの場面なのに笑ってしまいました。

 うーん、私の愛しているハンニバル・レクターの原点はこれなのでしょうか。少々、いえ、だいぶガックシです。原作も読んでみようかなぁ……。

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