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2006-08-07

非日常

非日常というものは居心地が悪いものです。

珍しく、というか初めて、ホテルの最上階のバーへ行ってまいりました。おっと、艶っぽいお話?ついに、私にも?と思いきや、全くそうではない。某出版社に勤めている編集者のお友達が取材に行くと言うので、便乗したまでのことなのです。

場所は東京赤坂の某ホテル。私と友人は完全なるカジュアルスタイルで、揃いもそろってカーゴパンツ。作業着です。しかも友人はリュックサック。
挙動不審になりながらホテルへ潜入する私たちは、あたかも僻地から大都会へやってきた観光客のようでありました。

そそくさと人目を避けるようにエレベーターに乗り込み最上階へ。
たどり着いたバーは、全体的に暗く、水色や紫のライティングが素敵なオトナのバー。あえて言うなら「バブル全盛のころのバー」ともいえるような様子。その当時は小学生だったので、あくまでもイメージですが…。
確かに薄暗い赤提灯居酒屋も最近はありますが、いつもと趣の異なる雰囲気に呆然。もちろん焼き鳥を焼く煙に燻されるなんてことはありません。
おどおどと席に着くと、窓の外は素敵な夜景!数え切れない明かりを見下ろす。そこで思った。毎日この様子ではうっかり勘違いしそうになるだろうと。「フン、下界の者どもは地を這って働くがいい」こうやってヒルズ族のような人間が出来上がっていくのでしょう。それでなくとも、お客はみんなセレブに見える。気後れすることこの上なし。

メニューを運んできていただき、覗けばその額たるや!!
カクテル2000円。おつまみ2000円。
私たちが普段飲むときの相場といえば、「料理五品と飲み放題」で2500円。普段食べているものが異常なのか、本日目の当たりにしているものが異常なのか大いに悩む。30年物のウィスキーに至っては、一杯で月給が吹っ飛ぶくらいのお値段!!いつも呑みに行けばすぐにメニューを決める私たちも、しばらく動くことができませんでした。

ややあってやっと何とか飲み物とおつまみを決めたものの、注文の仕方が分からない。「すいませーん」なんて大声を上げている人は誰もいない。テーブルに呼び鈴もありはしない。「あれじゃないか、指パッチンとか、手を叩いたりして呼ぶのではないのか…」ドラマでしか見たことのない世界に、現実と仮想の区別もつかない。それも致し方なし。ここは私たちにとっては非日常の世界なのですから。
きょろきょろと見渡し、手を上げて待つばかり。やっと店員さんに発見され、どうにか注文に至りました。

それにしても、なにせ一品が高い。「この一杯を大切に呑まなければならない」「この一皿を大事に行こう」 さわやか高校球児が試合で一球、ワンプレーを大事にする、あの精神です。いつもなら何分かのうちに飲み干す一杯を二時間近くかけて呑みました。もちろん全く酔いは回ってきません。それはお酒の量のせいばかりではなかったでしょう。

帰りがけ、私たちは自分たちがいた最上階を何とはなしに見上げ、
「高いですなぁ、首が痛いですなぁ…」と言ったっきり、非日常のあの光景を思い返すことはありませんでした。そして「夏だで、川原でバーベキューでもしようや」「んだんだ。オラたちらしいや」といいながら日常へ帰って行ったのでした。

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2006-08-01

もっと深みを!

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  『パイレーツ・オブ・カリビアン デッドマンズ・チェスト』を見に行きました。最後の19時の回だったんですが、結構混んでいました。さすがあれだけ前評判が高く、広告もばんばんやっているだけあります。

 見る前に、こんなことを思っていました。
「前作ではジャック・スパロウは主人公の一人だったんだけど、その彼が受けたんだから、続編はがんがんプッシュしてきて、そのせいでやり過ぎ感が漂ってしまうんだろうなぁ。ヒットしたから金もかけて派手だけど、物語はイマイチなんだろうな」
 そうしたらその通りでした。ちょっと苦笑。

 内容は完結している『1』と違って、『2』『3』は前後編になっています。だから、物語は中途半端なところで終わっていて、物語も何だか間延びしています。大体今作も2時間半ありました。冒険活劇にしては長すぎです。
 
 ジャック・スパロウはいいですね。おどけていて、ラリッていて、臆病で、卑怯者で、素直で、カワイクて、カッコいい。ちなみに今回のコピーは《さらば、ジャック・スパロウ》で、そういうシーンは確かにあったんですけど、それが格好いいんですよ。ジャック・スパロウに1800円出しますね、私は。とはいえ、そんな私でも今作は思った通りちょっと過剰気味でしたけど。

 物語自体はどうなのかというと、イマイチでした。次から次に物事は起きるんですが、ただ大騒ぎしているだけなような。しかし、思い返せば『1』も物語はイマイチで、ただただジャック・スパロウだけが良かったんだから何一つ変わっていない気もします。
 なので、「混んでいる映画館にわざわざ行く事はないけど、『1』観て、『3』も行くんだったらそのうち見たら? ジャック・スパロウ以外ちょっとガックシだけど、そもそもそういう映画なんだからいいんじゃないの」というのが私の感想です。褒めているんだか褒めていないんだか。

 以下は、少しですがネタバレです。ネタバレって程でもないんですけど。一応、注意してください。

 今回、エリザベスの揺れる心も一つの見所です(見所って程ではない気がしますが、少なくと製作者側にはそういう意図があるはず)。
 揺れるというのは、婚約者ウィル・ターナーとジャック・スパロウの二人のうち、どっちが好きなのだろうかということ。ウィルは好きだけど、自由奔放なジャックにも惹かれる……という、とてもわかりやすい図です。そういう構図が出来てもいいと思います。陳腐だけど。
 だけど、簡単過ぎませんかね。というのも、エリザベスがジャックに対して抱いている感情というのは、恋愛感情とは似て非なるものと思うからです。友情であり、愛情であり、憎悪であり、憧れでもある。そういうあらゆるものを含んだ、とても複雑な感情ではないんでしょうか。
 しかし、ハリウッド映画は、そういう複雑な、または、あやふやな感情を描くのがとても下手です。好きか嫌いか。愛情か友情か。LoveかLikeか。0か100か。はっきりとしたものが多い。あやふやで、あいまいな感情や関係を描けない。いや、わかりやすくする為に描かないのか。とにかく、その点はちょっと不満です。ジャック・スパロウという魅了的なキャラクターがいるのだから、人間関係に深みをもたせたらいいのに……そうすりゃもっと……恋愛関係とか親子関係とかもさ……ぶつぶつ。

 ま、『3』も控えていますし(多分同じ感じだろうけど)、後編次第でまた変わるかと。
 『2』に関して言えることは唯一つ。ジャック・スパロウは(やり過ぎながらも)今作も最高、ということです。カッコよかったなー。

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