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2006-04-03

おにぎり食べたい。

 再び初日に見に行きました。初日といっても、その映画館で上映されるのが初日ということで、映画自体は違う映画館でもう公開されていました。だから、初日の初回でも混んでいないだろうと思って出かけましたら、ところがどっこい(この表現も古いなぁ)、既に100人近くのお客さんがいました。何がなんだか、世間の流れがわからない川島です。それって編集者としては致命的な気もします。

 見に行ったのは『かもめ食堂』です。

 フィンランドのヘルシンキ市で「かもめ食堂」という日本食の食堂を経営しているサチエ。しかしお客さんは全然来ず、唯一のお客さんは日本かぶれのトンミだけ。彼からガッチャマンの歌を聴かれ、思い出せずアタマの中で「誰だ、誰だ、誰だ」がリピートする。そんな時に本屋でミドリを見かけ、思い切ってガッチャッマンの歌を知っているかどうかたずねてみる。

 文章にすると、なんてヘンテコリンな出だしでしょう。キーになるのがガッチャマンの歌という物語。
 監督・脚本は『バーバー吉野』の荻上直子。出演は小林聡美、片桐はいり、もたいまさこ。他に『過去のない男』のマルック・ペルトラも出ていて、この配役、好きな人にはたまらないでしょう。

 原作は群ようこ。原作を読んでみたのですが、この作品は映画の方がいいと思いました。極稀に原作を凌駕する作品もありますが、基本的に映画化したものは原作を越えられない、と思っています。
 文章で読んで自分が想像した世界が映像化されることにより、一つのイメージに固定されて、どうしても自分のイメージとの違和感が生じてしまうからです。
 もう一つ、何百ページと展開していく小説を、わずか2時間ほどにまとめてしまうのですから、どうしても言葉足らず、濃さ不足になってしまう。
 ところが、『かもめ食堂』は、その描ききれないところを最大に利用しています。つまり、説明できないのなら全く説明しない、という演出。「まぁ、別に全部を知らなくたって、いいんじゃない?」という気持にさせるのは、監督、脚本、つまり荻上直子の手腕でしょう。
 
 やりたくない事はせず、「大丈夫、多分」と言いながら日々を過ごす。 とりあえず美味しいものを食べながら考えよう。
 「人はみんな変わっていく」からこそ、まだ変わっていない現在を楽しむ。
 大きなテーマはありません。メッセージもありません。絶望はないけれど、希望もありません。ただ日常を切り取っただけの映画。ただそれだけなのに、何故これほど力強く、ほっとさせて、笑えて、幸せな気持にさせてくれるのでしょうか。
 『メルキアデス・エストラーダの3度の埋葬』とは違った意味で、いい作品です 。

 終わった後に食べたくなったのは勿論おにぎり。こんな食堂が近くにあったらなぁと思わずにはいられない。そんな作品です。日頃の生活に疲れている人(そうじゃない人にも)(結局、全員ですね)、お薦めです。

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いらっしゃい(o゜▽゜)ゝ♪ ハラゴシラエして歩くのだ。 かもめ食堂。 それはフィンランドの ヘルシンキにありました。 [続きを読む]

受信: 2006-04-04 00:39

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