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2005-09-12

池島信平『雑誌記者』 (中公文庫)

 小誌連載のひとつ、堤堯さんの『ある編集者のオデッセイ』は、来月連載50回を迎える。もともとは『編集会議』(宣伝会議)という雑誌ではじまり、40回目から小誌へと場所を移していただいた。

 堤さんはもともと文藝春秋で編集者だった方である。「痛快! 編集無頼の記」と毎回リードにあるように、編集者時代のさまざまなエピソードがこれでもかというくらい繰り出されてきて、驚くやら可笑しいやら唖然とするやら、読んでいてとにかく忙しい(笑)。
 いつだったか、頂戴した原稿にこうあった、「オスカー・ワイルドは、人生の快楽とは何かという問いに答えて曰く、『人をびっくりさせることだ』」。ご本人はそれを率先垂範されているのではないかと思われるくらいの”無頼”ぶりだ。

 さて、その連載第1回(『編集会議』2001年4月号)の巻頭には、スーツ姿に禿頭で、ゆったりと構えながら莞爾として笑っている御仁の写真が掲げられている。
 昭和の名編集者のひとりといわれる、文藝春秋の池島信平である。その回では、両氏の邂逅シーンが語られている。堤さんは小学生のときから「文藝春秋」の「社中日記」に親しんでいた(いまそんな小学生なんていないだろう)。そしてその「自由・軽薄・無頼・猥雑」な社風に憧れて、かなりの高倍率にもかかわらず、入社試験を受けた。池島信平一目見たさもあったという。最終面接で、ふたりは出会うのだが、その掛け合いシーンは何とも可笑しい。ご興味のある方は図書館で是非お探しください。

 そのエピソードを読んで、池島信平というのは、いったいどんな人物なんだろうかと思っていたら、中公文庫から池島信平『雑誌記者』が限定復刻されていた。1958(昭和23)年に「中央公論」に掲載されたというから、ほぼ半世紀まえのものだ。戦中戦後の編集者生活を振り返るという内容も面白くて、しかもほろ苦いのだが、冒頭の雑誌編集者の心得は、いまでも拳拳服膺して余りある。

 一、編集者は企画を樹てなければならない
 一、編集者は原稿をとらなければならない
 一、編集者は文章を書けなければならない
 一、編集者は校正をする
 一、編集者は座談会を司会しなければならない
 一、編集者は絵画と写真について相当な知識を持っていなければならない
 一、編集者は広告を作成しなければならない
 先達の言葉のまえに、ひたすらこちらの不勉強を恥じるしかない。
 
 解説の佐野眞一は言う、「『文藝春秋』には、いまだに池島信平のぬくもりが感じられる」。編集者冥利に尽きる一言ではないか。

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2005-09-05

ある読書法。

 というわけで、しばらくご無沙汰していました。このブログは、編集長が「ヒト」、川島が「映画・音楽」、小島が「野球」、阿部は「ア・ラ・カルト」(?)とテーマがなんとなく決まっているので、ぼくもそろそろ何かテーマを決めねばと思案投げ首してから、早いもので最終更新から半年以上。あら、もうそんなに。
 遅すぎっ! の声も聞こえるなか(この間、戦争もあったし洪水もありました)、ひとまず「今週買った本」をテーマにしていきたいっ(弱気な声で)。
 
 以前、作家の猪瀬直樹さんが、「新刊は、買ったらまず10分間だけ読め」と話されていた。新しく本を買い足していけば、新刊といえどもなかなか物理的に読む時間がなくなっていく。
 だがせっかく購入した本である。ならば、例えば新刊を買った帰りの電車(もちろん行きでもいい)のなかで、10分間だけその本を開いて、目次やまえがきといった冒頭部分、あるいはあとがきなどをぱらぱらと読むといい、と猪瀬さんは言う(オンライン書店で購入した場合はというツッコミはなし)。
 10分間というのは、もちろん目安。ざっと眺めて面白ければ、そのまま読み進めればいいし、そうでなければいったん本を閉じて本棚へ収めてしまう。
 その収めるときに、ちょっとコツがある。買った順番に並べろという。最初から、ミステリだノンフィクションだと、下手にジャンル分けなどしない。
 そうやっていくと、やがてその本棚を眺めた時に、その時々で関心があったことが解るし、「意識の流れ」みたいなものがぼんやりと見えてくるので、何かのヒントになるというような話だった。
 その他の話はすっかり忘れてしまったけれど、この読書法+収納法はユニークだったので、覚えている。ちょっと雑誌的な感覚の読み方ですよね。あるいは(ことばはうまくないけれど)「インデックス」的というか。
 ぼく個人は、その読書法の通りに電車のなかでざっと目を通すことを心がけて(心がけて、っていうのがミソ)、その本をいったんテンポラリな本棚にどんどん収納していく。溢れてしまったら、そこではじめて最後尾の溢れた本を、別に用意してあるジャンル分けした本棚へと移動させる。
 でも悲しいことに、小さな本棚では、本は溢れて移動しっぱなしなんですよ。移動先ではもう収集がつかなくって、もう・・・。

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