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2005-02-18

日本人メジャーリーガー

先々週がNPB(日本プロ野球の略)、先週が高校野球と来ましたので、今週はMLBについてでも語ってみましょうか。
さて、MLBといえばどういうイメージを持つか? 野球をしているものなら必ず一度は夢見る、野球界の最高峰といったような感じを持つだろう。
確かに、圧倒的なパワーに代表されるようにMLBには“最高峰”の名にふさわしい選手が存在している。現役最強スラッガー:バリー・ボンズ(サンフランシスコ・ジャイアンツ)、現役最強右腕:ペドロ・マルティネス(ニューヨーク・メッツ)、ビッグ・ユニット:ランディー・ジョンソン(ニューヨーク・ヤンキース)、ロケット:ロジャー・クレメンス(ヒューストン・アストロズ)、A-ROD:アレックス・ロドリゲス(ニューヨーク・ヤンキース)、精密機械:グレッグ・マダックス(シカゴ・カブス)などなど、野球人にとってはまさしく魅惑の世界と言ってもよい。
かくゆうワタクシも、小学生のときにその魅惑の世界に見せられた一人である。その頃は、もちろん今ほど詳しかったわけでもないし、熱中していたわけでもない。その当時、最強を誇っていたオークランド・アスレチックスのパワーとスピードに圧倒されていた。バッシュ・ブラザーズ(ホゼ・カンセコ&マーク・マグワイア)、リッキー・ヘンダーソン、デーブ・スチュワート、テリー・スタインバック、ボブ・ウェルチ、デニス・エカーズリーなどの猛者たちが、これぞMLBとの如く、暴れ回っていた。もちろん、オークランドの選手たちだけではなく、その当時はMLBの存在感を存分に見せつける選手たちが大勢いた。
しかし、今の選手たちがいくら暴れ回っても、昔のように胸がときめかなくなっている。それはなぜか? その大きな理由は。MLBのレベルの低下にあるのではないかと思う。
もちろん、トッププレーヤーのレベルはとてつもなく凄い。ボンズのようなパワーは、日本人ではとても太刀打ちできないし、クレメンスのように40歳を過ぎてもなお、エースとして君臨し続けているだけでなく、100マイル(約時速160キロ)の豪速球を投げ込ことなどは、日本の選手では考えられないことである。また、足・肩・パワー・テクニック・守備においてトップレベルのファイブツールプレーヤ−、A-RODのような選手などは、果たして日本に現れるのかさえも疑問だ。これら、トップアスリートに関しては昔も今も、そのレベルは変わってはいないだろう。
しかし、問題なのはそのトップレベルの選手とボトムレベルの選手との差が大きいということである。
ご存知のようにMLBは現在、30チームが存在している。マイナーの選手も含めればその数は3000人にも上る。その数自体は昔も今も変わらないだろう。しかし、昔だったらとうていメジャ−には上がれないような選手が、選手不足解消のために無理矢理上げられてしまっているのが現状なのだ。
それは、各チームの成績に如実に現れている。
ワタクシの少年〜青年時代は、地区連覇をするチームが珍しく、毎年のように優勝チームが変わっていた。その最たる例が、1991年のミネソタ・ツインズVSアトランタ・ブレーブスの、前年地区最下位チーム同士によるワールドシリーズだ。そのほか、今では弱小チームに成り下がってしまったピッツバーグ・パイレーツやデトロイト・タイガース、ミルウォーキー・ブリュワーズでさえも、優勝争いに絡んできており、見ていても楽しかった。
しかし、現在のMLBは、戦う前からある程度胃の予想が立ってしまうほど、チームのレベルも差が激しい。ナショナルリーグ東地区のアトランタ・ブレーブスは、ナント15年近くも地区優勝の座に君臨し続けているし、アメリカンリーグ東地区のニューヨーク・ヤンキースとボストン・レッドソックスはここ何年も地区優勝をかけた激しいデッド・ヒートを繰り返し、敗れた方がワイルド・カードを獲得するという展開になっている。この10年を見ても、地区連覇を果たしたチームは、前記のチームのほかにオークランド・アスレチックス(ア・西)、クリーブランド・インディアンス(ア・中)、シアトル・マリナーズ(ア・西)、セントルイス・カージナルス(ナ・中)、サンフランシスコ・ジャイアンツ(ナ・西)と実に多い。
スターター全員が防御率5点台というチームがあったり、20本塁打以上を打った選手がゼロというチーム、チームの年間勝率が首位打者の打率に抜かれるかもしれない、と話題になった悲劇的なチ−ムもあった。そんな、トップとボトムのレベルが激しいようなMLBが魅惑的に感じられるだろうか? ワタクシはまったく感じない。
それなのに今年もまた、日本からMLBを目指し多くの選手がアメリカへと旅立った。ル−ル違反まがいのことをしてまでも旅立った選手もいた。
井口資仁(ダイエー→シカゴ・ホワイトソックス)、藪恵壹(阪神→アスレチックス)、中村紀洋(オリックス→ロサンゼルス・ドジャース)、デニー友利(横浜→レッドソックス)。
これらの選手のうち、ワタクシが今年ちゃんと応援したいと思うような選手は藪投手ただ一人である。んぜならば、彼は万人が認めたルールに則って海を渡るからである。井口とデニーは自由契約、中村はポスティングでの移籍だ。これらの移籍はやはり、万人が認めた形とは言い難いと思う。
過去、何人もの選手が様々な形でMLBへ移籍した。それらの選手たちの中で、ワタクシが純粋に応援できる選手は次の選手たちである。
松井秀喜(巨人→ヤンキース)、松井稼頭央(西武→メッツ)、田口壮(オリックス→カージナルス)、木田優夫(オリックス→タイガースなど)、高津臣吾(ヤクルト→ホワイトソックス)の5人である。
彼らの共通点は、FAでメジャ−移籍を果たしたことである。FAという、しっかりとした移籍手段で海を渡った選手たちには、素直にメジャーでも活躍してほしいと思う。ただ、これら以外の選手に対しては、心から応援できる心情にはならない。
野茂英雄(近鉄→ドジャース(当時・現タンパベイ・デビルレイズ)=任意引退)、イチロー(オリックス→マリナーズ=ポスティングシステム)、長谷川滋利(オリックス→カリフォルニア・エンゼルス(当時・現マリナーズ))=自由契約)、大家友和(横浜→レッドソックス(当時・現ワシントン・ナショナルズ)=自由契約)、石井一久(ヤクルト→ドジャース=ポスティング)、大塚晶則(中日→サンディエゴ・パドレス=ポスティング)そして、今回渡米する3人も含め、それぞれに複雑な事情があるにせよ、ゴリ押しの末のワガママという印象が拭えない。
もちろん、日本人メジャーリーガーのパイオニアとしての野茂の功績は大いに評価しているし、イチローが昨年打ち立てたシーズン安打世界記録は賞賛すべき大記録である。また、日本での実績が皆無の大家のように、底の底から這い上がってきた選手には脱帽する思いはある。
しかしである。これら、FA以外で渡米した選手には、日本の球界に後ろ足で砂をかけて行ったというような印象をどうしても拭えないのである。特に、イチローや野茂といった、日本のプロ野球に大きな影響力を持つ選手たちの言動をみると、寂しさを通り越して怒りさえわき上がるのである。
彼らは確かに、今では押しも押されもせぬメジャーのトップスターである。しかし、その彼らの原点は、疑いもなく日本球界であったはず。日本のプロ野球で育てられ、実績を積み上げたからこそ、メジャーでもトップスターへと駆け上がる近道となったのではないか。それを自覚するならば、渡米しなければならなかった複雑な理由はあるにせよ、それは胸にしまって、日本のプロ野球に感謝をするような言動があってもいいのではないか。
ヤンキースの松井に至っては、FAという誰からも認められた形での移籍であるにも関わらず、毎オフには日本に戻り、いろいろな活動をしている。その心には、間違いなく日本への感謝があるはずだ。だからこそ、松井は誰からも慕われ、愛されるスターなのだ。
野茂やイチローがもっと、日本のプロ野球に感謝の態度を示したならば、日本から去った理由も過去のものとなり、万人から愛されるスターとなれるのではないか。もちろん、彼らには万人から愛されたいという気持ちは毛頭ないと思うし、松井に至ってもごく自然の行動ではあると思うが。

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コメント

イチローは、毎年名古屋の少年院に野球慰問を続けていますし、野茂に至っては、少年野球チームを運営していますよ。松井のようにボランティア活動を大袈裟にひけらかしていないだけです。
2006年のWBCを誰も忘れやしませんよ。イチローがどれだけ日本代表チームを叱咤して、どれだけ日本野球の誇りをかけて戦ってくれたか。劣等感ムキ出しの韓国人にどれだけコケにされたか。MLB所属選手なのに米国代表相手にどれだけ闘志をみなぎらせたか。
松井は王監督の再三の要請にも関わらず、「ヤンキースの優勝の為に頑張りたい」と言うわけのわからない理由で辞退しましたね。同僚のAロッドやジータは、代表入りを躊躇いもなく受けましたよね。
多分、貴方は偏狭な松井ファンの典型なんでしょう。貴方が幾ら卑怯な論法でイチローを貶めても、

2006年初代WBC優勝国日本代表を牽引したのは、紛れもなくイチローです。
偏狭な松井ファンの貴方には堪えられない現実でしょうが、

日本人の多くは、

2006年WBC日本代表メンバーを忘れない。

そこに松井は居なかった。
日本人は、忘れない。

投稿: はあ~ | 2008-12-14 00:07

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